訪問看護の学び

パルスオキシメーター 正しく使用出来ていますか??


パルスオキシメーターって何が測れるの?

パルスオキシメーターとは

パルスオキシメーターは、皮膚の表面から動脈血液の酸素飽和度(SpO2)と脈拍を測定するためのモニター機器として、1974年に日本で開発されました。

赤い光の出る装置(プローブ)を指にはさむことで測定します。

肺から取り込まれた酸素は、赤血球に含まれるヘモグロビンと結合して全身に運ばれます。

基準値

パルスオキシメータは測定値が100%表示で、大まかな目安として95%以上は優、90%以上は良、90%未満は不良と評価できます。

 

どんな人に使用するか

呼吸困難が考えられる疾患・症状がある人(日本内科学会より)

呼吸器疾患(閉塞性障害、拘束性障害、混合性障害)

気管支喘息、アナフィラキシーショック、上気道閉塞、気管内異物、肺炎、細気管支炎、緊張性気胸、胸水、CO中毒

肺高血圧症、慢性心不全、狭心症

急性冠症候群、急性心不全、非心原性肺水腫、致死的な不整脈、肺血栓塞栓症、慢性呼吸器疾患に伴う右心不全

貧血

急性出血

重症筋無力症、ギランバレー症候群、ALS、進行性筋ジストロフィー

甲状腺機能亢進症

糖尿病性ケトアシドーシス、尿毒症性アシドーシス

腎性貧血

糖尿病性腎症に伴う肺水腫、急速進行性糸球体腎炎に伴う肺障害

脳炎、脳腫瘍、髄膜炎

過換気症候群、神経症性障害、心身症

その他、登山をする人やスポーツ選手、疾患が無い場合でも全身状態を把握するために計測します。

 

酸素飽和度(SpO2)とは

心臓から全身に運ばれる血液(動脈血)の中を流れている赤血球に含まれるヘモグロビンの何%に酸素が結合しているか、皮膚を通して(経皮的に)調べた値です。

プローブにある受光部センサーが、拍動する動脈の血流を検知し、光の吸収値からSpO2を計算し表示します。

 

パルスオキシメーターの原理

酸素と結合した酸化ヘモグロビン(HbO2)は赤外光(波長940nm) をよく吸収し酸素を失った還元ヘモグロビン(Hb)は赤色光(波長660nm)をよく吸収するという特性の違いを利用して、2つのヘモグロビンの比率を求めて酸素飽和度を測定しています。

酸素を取り込んだヘモグロビンが多く通過したときは、受光センサーに到達する赤色光の強度は強くなり、赤外光との比が大きくなります。

一方、酸素を取り込んでいないヘモグロビンが多く通過したときは、両者の比が小さくなります。この赤色光と赤外光との強度比を取ることにより、酸素飽和度を測定することができます。

また、動脈では血液がドクドクと音がするように、血流に強弱があるので、この周期を測ることによって脈拍も測定できます。

 

SpO₂、PaO₂、SaO₂の関係(ややこしいが用語を覚えよう)

SpOpulse O saturation):動脈血酸素飽和度

間接的にSaO2を測定する方法です

 

SaO(arterial O saturation):動脈血酸素飽和度

動脈血の酸素飽和度の実測値です。

血液を採取して検査を行ったものをSaO₂

パルスオキシメーターで測定したものをSpO₂と呼びます。

 

 

PaO(arterial O pressure):動脈血酸素分圧

PaO2は、肺胞から血管の中に入り込み、血液中に溶け込んでいる酸素を指します。つまり、ヘモグロビンと結合していない酸素のことで、血液の中を自由に動き回っています。

 

酸素解離曲線って覚えてますか?

(引用http://igs-kankan.com/article/2013/03/000722/

PaO2を横軸、SpO2を縦軸に取った図を酸素解離曲線と呼びます。この図では、PaO2=60mmHgのときにSpO2=90%を示すことを表しています。

SpO₂を知る事で、PaO₂も知ることができるのです。

呼吸不全の定義である動脈血酸素分圧60mmHgは、パルスオキシメーターでのSpO2 90%に相当します。

したがって、在宅酸素療法を必要とする呼吸不全の患者さんでは、安静時では95%以上、労作時では90%を維持する酸素量が処方されます。

 

SaO2とPaO2の関係性の落とし穴

PaO2の値を知ることでSaO2(SpO₂)の値を知ることができると解説しましたが、2つの例外が存在します。

1つ目は、酸素はヘモグロビンと結合しますが、酸素よりもヘモグロビンと結合しやすいものがあるということです。

代表的なものとして、一酸化炭素があります。

血液中に一酸化炭素があると、酸素の200倍の強さで酸素よりも優先的にヘモグロビンと結合します。

一酸化炭素と結合したヘモグロビンは酸素と結合できないため、組織への酸素供給ができません。

血液内に酸素がたくさんあり酸素分圧が高い状態であっても、一酸化炭素と結合したヘモグロビンは酸素の割合が低下しているため,SaO2は低下しています。

2つ目は、生体の変化によって酸素解離曲線が変化するということです。

つまりPaO2が60mmHgの時にSaO2は90%という関係が変化してきます。

その要因として、アシドーシスやアルカローシスなどのpH、二酸化炭素、体温などがあります。

生体がアシドーシスになるとヘモグロビンが酸素を離しやすくなり、酸素解離曲線が右側へ移動します。これを「右方偏位」と言い、組織への酸素供給が増えることを意味します。

アルカローシスになると酸素を離さなくなり、酸素解離曲線が左側へ移動します。これを「左方偏位」と言い、組織に酸素供給がされにくくなります。

このような変化を「ボーア効果」と呼びます。

「アシドーシスの方がましかな?」と思いそうですが、

酸素を離しやすいということは、言い換えれば「酸素とくっつきにくい」

ということになるので、長期的に見ると生体には悪影響となります。

「SaO2とPaO2の関係性が崩れる状態がある」

PaO2だけで酸素の状態を判断しないこと!!

 

 

サチュレーションって何?

酸素飽和度(さんそほうわど、oxygen saturation)とは、赤血球中のヘモグロビンのうち、酸素と結合しているヘモグロビン(酸化ヘモグロビン)の割合のことで

動脈血の中にどの程度の酸素が含まれているかを示す指標となるSaO2、またはSpO2と記されたり、飽和を意味する英語saturationからサチュレーション、SAT(サット)やサーチと呼ばれたりすることもあります。

 

パルスオキシメーター装着時の注意点

プローブの装着不良

装着不良で脈波信号が減弱しSpO₂が低下します。

また、プローブ(指を挟む部分)の発光部と受光部の汚れも脈波信号が減弱します。

小まめに手入れをしましょう。

装着するときは浅すぎず、奥に入れすぎず、真っすぐに挟みましょう。

 

吸光度曲線に混入するノイズ

ノイズの原因:体動、電磁波、外部光

体動:体動は誤差を生じやすくします。

電磁波:テレビなどの電化製品、携帯電話などの近くで測定すると電磁波の影響で誤差がでることがあります。

外部光:照明灯、蛍光灯、赤外線加熱ランプ、直射日光などの外部光が強すぎても誤差の原因となります。

計測するときは、動かさずじっとする。

電磁波を発する機器は少し離して測定する。

外で測る時は、手で覆うなど考慮する。

 

吸光度曲線の測定障害

寒冷による血管収縮や血管の圧迫により血流が減少すると透過光量の変動情報が得られずに正確な測定が困難となることがある。

手指が冷えている時は、温めてから計測する。

前腕や上腕を服などで締め付けている場合は、緩めてから測定する。

 

透過光強度の減弱をする物質の存在

異常ヘモグロビン、体内に注入された色素、マニュキアや皮膚の色素沈着など

異常ヘモグロビン:喫煙や一酸化炭素中毒による一酸化炭素ヘモグロビンや亜硝酸薬、抗不整脈薬などの服用によるメトヘモグロビンなどがあります。

体内に注入された色素:検査で使用するインドシアニングリーンやカルディオグリーン、重症メトヘモグロビン血症の治療に用いるメチレンブルーの静注は、透過光強度に影響します。

マニュキアや皮膚の色素沈着:マニュキアや皮膚の色素沈着などは透過光を吸収する為、生体を透過する脈波シグナルが変化します。

服薬管理。

色素沈着がないが確認。マニュキアがある場合は、可能であればとってもらう。

 

パルスオキシメーターの価格3000円~100000円

安価なものから高価なものまで様々あります。

相場で、3,000円~100,000円の幅があります。

薬事認証されているパルスオキシメーターの全てが国際規格(ISO)に基づく制度基準を満たしているわけではありません。

国際規格に基づいた制度保証がなされているかは、添付文書や取扱説明書などの付帯文書で人を用いた試験結果を記載しているかなどで確認する事が重要です。

価格さがある要因

誤差の発生を抑える工夫や耐久性あるいは落下時の衝撃に対する強さなどの測定性能や品質の違いによって大きく左右されます。

循環不全がある方などは、感知できる信号量が減少するとともに、誤差要因となるノイズが多くなるため測定値は機器の性能に大きく依存します。

また、正しく計測できていない値をそのまま表示するもの。警告とともに表示するもの、警告のみ表示するものなど様々です。

低脈波性能や耐用期間の確認、使用部材や危機の構造等は製造業者の公開情報を確認してください。

どこで買えるの?

パルスオキシメーターはドラッグストアや家電量販店では取り扱っていません。

方法としては、

・パルスオキシメーターのメーカーに直接問い合わせる。

・医療用品専門店で買う。

・介護用品専門店で買う。

コニカミノルタが購入店舗を紹介しています。https://www.konicaminolta.jp/healthcare/products/pulseoximeters/knowledge/buy/shop.html

近くに医療用品専門店がない場合は

Amazonや楽天などの通販で購入する方が、種類も多く、安価で手に入るので実際に店舗に行く手間も省けるのでおすすめです♪

 

まとめ

パルスオキシメーターについて書きました。

パルスオキシメーターは、皮膚の表面から動脈血液の酸素飽和度(SpO2)と脈拍を測定するためのモニター機器です。

正常値は95%以上でざっくりと理解している人も多いと思います。

SpO₂、PaO₂の関係を知り、利用者さんの状態に合わせたアセスメントが必要になります。