血圧とは
血圧とは “血管の壁に与える血液の圧力”
心臓から拍出される血液量(心拍出量)と末梢血管での血液の流れにくさ(末梢血管抵抗)によってほとんど決まります。
このほかには大動脈の弾力性や血液の粘性、血液の循環量なども関わっています。
平均血圧は
心拍出量×末梢血管抵抗
で算出することができます。
※拡張期血圧+脈圧÷3でも近似的な平均血圧を算定することができます。
収縮期血圧(systolic blood pressure: SBP)
心臓から大動脈へ血液を送り出している状態では、血液を押し出すために心臓は収縮し、押し出された血液によって大動脈の血管壁には圧力がかかっています。
大動脈に弾力性がないと、圧力を逃がすことなくそのまま受けることになり、血圧が上がります。
拡張期血圧(diastolic blood pressure: DBP)
心臓へ血液が戻ってきている状態では、心臓は血液で拡張し、大動脈の血液量が減ることから血管壁にかかる圧力は低下します。
収縮期血圧と拡張期血圧の差は脈圧といい、動脈硬化の指標の1つになっています。
脈圧が大きいほど動脈硬化が進行している可能性が高く、心筋梗塞や脳卒中を起こしやすいといえます。
また、この心臓の収縮・拡張に伴い、脈拍という末梢動静脈系での拍動が起こります。
なぜ血圧を測るのか
血圧の高い低いによって様々な病気になる(なっている)可能性を知ることができます。
せっかく早い段階で血圧の異常を発見することができても、自覚症状がないことからと放置してしまう方も少なくないです。
異常のあった際は、速やかに専門医の診察を受けることをお勧めします。
糖や塩分の多い食生活に運動不足、ストレスの溜めこみなど、高血圧のもととなる生活行動は、成人病のリスク増大を促します。
心筋梗塞や心不全といった心疾患、動脈硬化による脳梗塞、糖尿病や腎不全などの深刻な病気のリスク回避に、日ごろから自分の血圧の数値を把握しておく習慣をつけましょう。
基準値を知ろう
成人における血圧値の分類(mmHg) ※厚生労働省ホームページより引用
分類 | 診察室血圧 | 家庭血圧 | ||
---|---|---|---|---|
収縮期血圧 | 拡張期血圧 | 収縮期血圧 | 拡張期血圧 | |
正常血圧 | <120 かつ <80 | <115 かつ <75 | ||
正常高値血圧 | 120-129 かつ <80 | 115-124 かつ <75 | ||
高値血圧 | 130-139 かつ/または 80-89 | 125-134 かつ/または 75-84 | ||
I度高血圧 | 140-159 かつ/または 90-99 | 135-144 かつ/または 85-89 | ||
II度高血圧 | 160-179 かつ/または 100-109 | 145-159 かつ/または 90-99 | ||
III度高血圧 | ≧180 かつ/または ≧110 | ≧160 かつ/または ≧100 | ||
(孤立性)収縮期高血圧 | ≧140 かつ <90 | ≧135 かつ <85 |
高血圧と低血圧の危険性
低血圧
主に「本態性低血圧」「起立性低血圧」「症候性低血圧」の3つに分類されます。
本態性低血圧・・・原因が特に無く血圧が常に低い状態で、めまい、頭痛、耳鳴り、肩こり、倦怠感、不眠等、様々な症状を起こします。
起立性低血圧・・・横になった状態から急に立ち上がったり、長時間立ち続けたりすることで血圧が下がり、立ちくらみやめまい等の症状を起こします。
症候性低血圧(二次性低血圧)・・・何らかの病気が原因で血圧が下がっています。
高血圧
動脈硬化、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、脳出血、腎臓病など
血圧計の種類メリット・デメリット
①自動電子血圧計②電子血圧計③アネロイド式血圧計
①自動電子血圧計
メリット:術後や継続的な血圧測定が可能。脈拍・呼吸数も同時に把握できる。
デメリット:個人で購入は難しく、病院内での管理向き。
②電子血圧計
メリット:自宅でも一人で計測することができる。
デメリット:数値にバラツキがでやすい。低血圧やショック時に聴診法では血圧が測れないことがある。
③アネロイド式血圧計
メリット:数値が正確に把握できる。低血圧やショック時においても、触診法を用いて正確に把握しやすい。
デメリット:聴診器も必要であり、聴診するには技術が必要。
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血圧測定する場合の注意点
乳がんの方
乳がんでリンパ節郭清を受けた患者の患側で血圧測定をしてはいけません。リンパ液の還流が悪くなり、患側上肢はリンパ浮腫を起こしやすくなります。そのため、マンシェットによる加圧のため上腕神経が圧迫され、上肢のしびれや麻痺、うっ滞などの循環障害が起こる恐れがあります。
麻痺のある方
麻痺がある患者の麻痺側で原則として血圧測定をしてはいけません。麻痺側は、末梢の循環が悪く静脈血・組織液がうっ滞しやすい状況にあります。血管の狭窄はなくても、運動量が少なく循環血液量の低下がみられることで、健側よりも低く測定される可能性があります。しかし、最近の研究結果から健側で点滴をしているような場合は、麻痺側で測定してもかまわないとされています。
透析をされている方
シャント造設をしている側の上肢から血圧測定を行ってはいけません。シャントの血流が保たれ、詰まらせないようするためには、「閉塞・狭窄」「感染」「出血」を予防するために、シャント側での血圧測定を行ってはいけません。
その他
血圧変動をきたすような要因を極力排除し、安静状態での安定した値を測定します。測定値が高い場合は、10分ほど安静臥床してもらい再測定した値を踏まえ評価しましょう。
最後に
血圧は、体の異常の早期発見に繋がります。私も訪問看護ステーションで勤務して毎日利用者さんの血圧を測定しています。
数字にばかり焦点を当てず、自覚症状や計測条件も加味して評価しています。
一般の方は、自己判断するのは命の危険にもなりますので、必ず専門の方に聞くようにしましょう。
病院に行けば計測する事も多い血圧。それだけ、大事な指標なのです。